A beautiful mindとは、ゲーム理論を発明したジョン・ナッシュという人についての映画である。
自分が経済学部で神取先生のミクロ経済学の授業を受けていたとき、神取先生が、「経済学部生ならA beautiful mindは見ておくべき」とおっしゃった。当時の私はその映画の存在も知らず、興味をそそられた一方で、怠惰な私は不肖にも放置していた。
それから私は岩井先生のゼミに入った。岩井先生も教養に深く、先生は「黒澤明の映画は見ておくべき」とおっしゃった。その発言を受け、当時のゼミ生で企画し、経済学部の地下の何百人も入れる大教室を借りて、『七人の侍』の鑑賞会を行った。とても古い映画だったが、面白く、引き込まれ、今でも当時のゼミの鑑賞会を覚えている。
それから十何年が経ち、今度は自分がゼミを主宰する立場になった。ゼミ生には、知識でも教養でも仲間でも何でもいいから、なにか今後の人生で覚えていてほしい、今後の人生に残る何か一つを持って卒業してほしいと思っている。
そう思ったとき、一度映画鑑賞はしてみるのはいいかもしれないと思った。事実、私は10年以上前のゼミでの映画鑑賞を今でも覚えているし、それは私の一部になっている。私が好きなのは北野武監督なのだが、経済学部のゼミでの批評・鑑賞には向かないだろう。
そう考えたとき、ふと神取先生の言葉を思い出した。A beautiful mindであれば、経済学のゼミにぴったりである。もしかしたら囚人のジレンマゲームなどもでてくるかもしれない。見終わった後に私が解説して、ゼミ生の議論のネタにもなりそうである。
そうしてようやく私は十数年ぶりに神取先生との約束を果たすことができた。
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