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  • ゼミ選考書類2:おススメの本や漫画

    ゼミの選考書類の二つ目は、「あなたが私に『絶対に読むべき』と思う本や漫画を、理由とともに教えてください」というものである。これは最近追加した課題である。理由はいくつかある。

    一つ目は、おすすめの本や漫画から、その人の人となりがなんとなく見えてくるからである。ゼミ選考の目的は、ゼミとゼミ生のマッチングであるため、この追加的な情報は非常に有益である。

    二つ目は、私自身が、その人が「一番勧める本」に純粋に興味があるということである。その人の生き方や考え方、人生に影響を与えた本ということは、少なくともその学生にとって重要な価値を持つ本である。世の中には無数の本があふれている一方で、人生の時間は有限であり、一生のうちに読むことのできる本の数も限られている。そのため、私はできるだけ学生が紹介してくれた本や漫画は実際に購入し、読むようにしている。

    三つ目は、私自身が本や漫画が好きだということである。特に漫画については、「大切なことは漫画から学んだ」と自信を持って言えるほどの漫画好きである。単純に、今の世代の人たちが何に興味を持っているのかを知ることができるし、自分の感性が古くなっていないかを確認する機会にもなる。

    この問いに正解はない。古典や王道を挙げる学生もいれば、ニッチな漫画を紹介してくる学生もいるし、最近話題になった本を勧めてくれる学生もいる。ある学生は『ワンピース』を紹介してくれたが、さすがに全100巻以上あるため、その学生には申し訳ないが購入は諦めた。

    最後に、この課題に関するエピソードを一つだけ。

    ある日、たまたま降雪の影響で電車が運休し、研究室に行けなかったため、近くの喫茶店でリモートワークをしていた。そのとき偶然、ある学生からゼミの応募メールを受け取った。応募書類を見ると、一冊の本について非常に熱く書かれていた。どこかで聞いたことのあるタイトルだと思っていたところ、実はその喫茶店のマスターがおすすめしている本で、店の本棚に書評とともに飾られていた。思わず手に取って読み始め、気づけば2時間ほどで読み終えてしまった。とても良い本だった。後日、その学生が合格したことは言うまでもない。

  • ゼミ選考書類1:好きなことを原稿用紙10枚以内

    中澤ゼミの選考書類のメインは、志望学生に「原稿用紙10枚以内で、好きなことをなんでも書いてもらう」という課題である。

    なぜこのような課題を義務付けているかというと、理由は単純で、私が学部生だったころ、尊敬する先生が同じ課題を出していたため、それを踏襲している。

    経済学部は3年生になると専門のゼミが始まる。私は学生時代、ゼミ選びに非常に悩んだ。当時の私はマクロ経済学が大好きで、そうなると選択肢は2つしかなかった。岩井克人先生か吉川洋先生である。当時、駒場でマクロ経済学を教えていたのはこの二人だけで、毎年交代で経済学部2年生の「マクロ経済学」を担当していた。私のときは、たまたま岩井先生の授業の番であった。

    衝撃を受けたのは、その授業である。髪を振り乱しながら、いわゆる天才にありがちな、脳に口が追い付かないような勢いで教え、しかし内容は非常に平易な言語に変換されたその姿に、圧倒されるとともに、たまらなく惹かれた。自分が見ている世界と、彼が見ている世界は、全く違うのだろうと思った。

    岩井先生は、吉川先生のマクロ経済学の教科書を授業の教科書として指定していたため、授業中に先生の説明を聞きながら、授業の前後には予復習で教科書が書き込みで真っ黒になった。私は本に書き込みながら理解するのが好きで、世界史や日本史の教科書もすこぶる汚かった。

    どちらのゼミにしようか悩んだが、当時、私のテニスサークルの先輩が偶然吉川ゼミに所属しており、吉川ゼミを勧められたことから、最初は吉川ゼミに行こうと思って、志望動機などの応募書類を書き上げた。

    しかし、これも偶然なのだが、その直後、3年生の最初の学期に開講された岩井先生の「貨幣・法・資本主義」という授業の初回に、たまたま出席した。この偶然が私の運命を変えた。髪を振り乱しながら、早口で、必死に高度な内容を平易な言葉で説明するその姿を見て、やはりこの先生はとても面白い、この先生についていこうと思い、その授業中に岩井先生のゼミへの応募書類を書くことを決意した。20年近く経った今でも、大教室で私が決断したその瞬間を、はっきりと覚えている。

    困ったことに、岩井ゼミの書類の締め切りは、なんと翌日であった。募集要項を確認すると、「原稿用紙10枚以内で好きなことを書け」という課題が課されていた。「以内」とは書いてあるが、分量は大いに越したことはないのだろうと思った。原稿用紙10枚はそれなりの分量なので、本気で自分が思っていることでなければ、とても書き切れない。

    そこで、経済学とはまったく関係ないが、その当時自分が考えていた、「自分は生物学的には生きているが、人としては本気で生きておらず、死んでいるのではないか」という感覚について、当時読んでいた村上春樹の小説と絡めて一晩で書きあげた。

    応募者は定員より多かったが、運よく合格することができた。後から先生に聞いた話によると、岩井先生は成績表などは一切提出させないし、そもそも読まないらしい。それでもこの方法で優秀な学生は十分に見分けられるし、実際うまくいっている、とのことであった。

    たしかに、ゼミ生はその後、大学教員、弁護士、公認会計士、官公庁、民間大手など、錚々たるところに就職していた。ゼミの特徴としては、勉強好きで、他のゼミに比べてアカデミア志望(大学院進学)の学生が多かったように思う。

    今では私もゼミ生を取る立場になったが、私自身も岩井流を踏襲し、学生には好きなことを原稿用紙10枚以内で書いてもらうようにしている。ただし、私は書類だけではよく分からないので、面接も行っている。

    しかし、少数ながら留年者が出てしまったりもするので、当然ながら、面接をしている私の目は、面接をしない岩井先生よりも節穴なのである。

  • 『新・教養としての経済学』が出版されました

    一橋大学経済学部編
    『新・教養としての経済学――より良い未来を選択するために』 が、有斐閣から出版されました。

    本書は、一般の方や高校生を主な対象として、経済学の考え方や視点を、できるだけ平易な言葉で解説した一冊です。現代社会が直面するさまざまな課題について、経済学がどのように考え、どのような選択肢を提示できるのかを学ぶことができます。

    私自身も、第Ⅲ部「データによるアプローチ」の中の一章を担当しています。

    新・教養としての経済学 | 有斐閣

    構成

    序章 経済学を学ぼう!
    第Ⅰ部 日本・世界経済の今とこれから
    第Ⅱ部 環境問題へのアプローチ
    第Ⅲ部 データによるアプローチ
    第Ⅳ部 理論を通して見た経済社会
    第Ⅴ部 マクロ経済と金融政策へのアプローチ
    第Ⅵ部 歴史の中の経済社会
    第Ⅶ部 経済学を発展させる数学・統計学

    高校生の進路選択や、大学で経済学を学ぶ前の導入としても、また社会人の学び直しとしても活用できる内容になっています。経済学に初めて触れる方にもおすすめです。
    ご関心のある方は、ぜひお手に取っていただければ幸いです。

  • ゼミ3期生募集

    中澤ゼミ3期生を募集します。募集概要は以下の通りです。

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    応募される方は、以下の書類を事前にメール(nobuhiko.nakazawa [at] r.hit-u.ac.jp)で提出してください。その後、面接を行います。前日までに、各学生に面接時間が何時になるか連絡します。

    1.       好きなこと、興味・関心あること、今思っていること、将来の夢等について、自由にレポート用紙10枚以内で記述してください(形式自由) 。内容は経済学と関係があっても全く関係がなくても構いません。あなたの人となりがわかるようなものであれば、どんな内容でも構わないので、自由に何でも記述してください。

    2.   あなたが私に「絶対に読むべき」と思う本や漫画を、理由とともに教えてください。経済学と全く関係がなくて構いません。上記1の最後に書いてもいいですし、別項目として提出してもかまいません。

    3.      成績表(任意)、履歴書(形式自由)

    ゼミや教員の概要等につきましては、過去のシラバスや記事等をご参照ください。

    [日本語][English] [雑誌記事(研究室紹介)][本(第Ⅲ部3章)]

    こちらがゼミ生に望む人物像はおおよそ以下の通りです。

    ・何かに一生懸命取り組んでいる、人間的な魅力がある

    ・やむを得ない事情を除けば、ゼミに出席する意思はある

    ・基礎ミクロ経済学と基礎計量経済学を履修済で、同分野の基礎を身につけている

    ・他のゼミ生との交流を厭わない

    質問があれば、上記のメールアドレスまでお願いします。